抗原提示経路

  効果的なワクチンの開発には、投与した抗原を体内の抗原提示細胞に送達し、効率良く抗原提示させる必要があります。抗原提示には二つの経路が存在し、両者の働きは大きく異なっています。外来性抗原は抗原提示細胞に取り込まれた後、エンドソーム/リソソーム系でプロセシングを受けてMHC classU分子上に提示され、CD4陽性ヘルパーT細胞に認識され、抗体産生を中心とした液性免疫を誘導します。一方、サイトゾル中に存在する内在性抗原は、プロテアソームによるプロセシングを受け、MHC classT上に提示され、CD8陽性細胞傷害性T細胞(CTL)に認識されて細胞性免疫を誘導します。ウイルス感染や癌に対する治療において、病態細胞の排除には、CTLを中心とした細胞性免疫が重要な役割を果たしているため、外来性抗原を抗原提示細胞のサイトゾルに運搬して、MHC classT経路の抗原提示により細胞性免疫を誘導する抗原デリバリーシステム開発が望まれています。

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