大阪府立大学 電気化学研究グループ

研究内容

水系新規ハイブリッドキャパシタの構築

 二次電池や燃料電池と異なる次世代蓄電デバイスとしてキャパシタが注目されています。二次電池では放電をするときに負極が酸化することで電子を放出し、正極が還元することで電子を吸収しています。充電をするときには逆の反応がおこり、電子も逆方向へ流れます。しかし、キャパシタでは一般的に電極の酸化還元など化学反応が生じず、図1中央の模式図で示すように電極の表面に正電荷と負電荷が対になった構造が作られて電子を貯蔵しています。キャパシタの特徴として化学反応を使わないために非常に素早く充放電が可能であることが挙げられます。また、正極や負極に酸化還元する材料(電極の活物質と呼びます)が必要ないため軽くて容量の大きい蓄電デバイスを作ることが可能です。キャパシタには様々な電極や電解液の組み合わせがありますが、最も一般的な構成は電気伝導性の高い水酸化カリウム水溶液を電解液に、表面積が非常に大きな活性炭を正極と負極に使用したキャパシタです。電極の表面に電荷の対が生じるため、面積の大きな電極が大きな容量を示すことから表面積の大きい活性炭が使用されます。
 正極と負極に異なる電極を用いたキャパシタをハイブリッドキャパシタと呼びますが、本研究室では正極に酸化ニッケル、負極に活性炭を使用することで高性能なハイブリッドキャパシタの作製を行っています。図1にハイブリッドキャパシタに使用する電極の写真と電子顕微鏡画像を示しています。左に示した正極では、酸化ニッケルをニッケルメッシュ上に合成しています。合成した酸化ニッケルは小さな粒子が花弁のような構造をしており、大きな表面積を持っているため、大きな容量が期待できます。負極には電気伝導性の高い布状の活性炭を使用しています。一般的に水酸化カリウム水溶液など水を使用した電解液では、キャパシタを充電した時に水の電気分解が起きないように低い電圧で使わなければなりません。しかし、酸化ニッケル電極を使用することで水の電気分解を抑え、キャパシタを高い電圧で使うことが可能になりました。電圧を高くすることで従来よりもキャパシタの容量を大きくすることが可能です。

水系新規ハイブリッドキャパシタの構築

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