大阪府立大学 電気化学研究グループ

研究内容

ハイブリッドヒドロゲル電解質自立膜の作製ならびに電気化学特性

 ニッケル‐水素二次電池や次世代の蓄電デバイスとして期待されるニッケル‐亜鉛二次電池では高い濃度の水酸化カリウム水溶液を電解液として使用しています。水酸化カリウム水溶液は強アルカリなので電解液が漏れた場合危険ですが、液体の電解液を固体にすることができれば液漏れの危険は無くなります。また現在の二次電池にはセパレーターと呼ばれる正極と負極を物理的に隔てる布状の部品を使用していますが、電解液を固体にすればセパレーターが必要なくなるので電池の構造を簡便にすることが可能です。
 これまでに当研究室では水酸化カリウム水溶液を固体化するための方法として、有機高分子の架橋型ポリアクリル酸カリウム(PAAK)を用いた有機ヒドロゲル(図1a)や粘土鉱物のハイドロタルサイト(HT)を用いた無機ヒドロゲル(図1b)の作製に成功しています。有機、無機ヒドロゲルはニッケル‐水素二次電池や電気二重層キャパシタなどへの応用が研究され、水溶液よりも高い性能を示しています。しかし、これらのヒドロゲル電解質は機械的な強度がやや低いことから、より高い強度を持つヒドロゲル電解質の研究を行っています。PAAKとHTを混合し新たなヒドロゲル電解質の作製を行ったところ、図1 (c)に示すように膜状であっても形状を保てるほど強度が高い混合ヒドロゲル電解質を作製することに成功しました。また、この混合ヒドロゲル電解質は水酸化カリウム水溶液と同じくらいの電気伝導性を示したことから、性能を損なうことなく安全な二次電池が作製できると考えられます。

ハイブリッドヒドロゲル電解質自立膜の作製ならびに電気化学特性



参考文献
1. M. Chiku, S. Tomitai, E. Higuchi, H. Inoue, Polymers., 3, 1600 (2011).

Page Top